2026年5月27日、ワシントン―世界銀行グループは新報告書「廃棄を再考する:廃棄物管理のデジタル化に向けた実践ガイド」を発表し、自治体や廃棄物処理企業がデジタルツールを活用することで、サービスの信頼性を高め、運営コストの削減とリサイクルシステムの強化、さらにより良い投資判断を可能にすることを明らかにしました。
廃棄物処理システムへの負荷は増大し続けています。世界の都市固形廃棄物は、2022年の26億トンから2050年までには39億トンへと50%増加すると予測されています。低所得国では廃棄物量は2倍以上、一部の地域では3倍に達する見通しです。対策を講じなければ、未回収廃棄物、野外投棄、焼却が健康・環境に被害をもたらし、損失額は年間3,610億ドルに達すると試算されています。
本報告書は、デジタル化が、単にテクノロジーの導入を意味するものではなく、より質の高いデータを活用して廃棄物処理システムの信頼性と透明性を高め、財政面での持続可能性を確保するものであることを示しています。
デジタルツールによって、自治体や事業者は以下のことが実現可能と期待されています。
様々な地域において、デジタルツールは具体的な成果を生み出しています。
カンボジアのバッタンバン州では、デジタル請求、モバイル決済、GPSによる位置情報の追跡を取り入れ、廃棄物収集の改善に取り組みました。廃棄物収集サービスの普及率は全世帯の約40%から75〜80%へと向上し、収集の信頼性と料金徴収の改善につながりました。
韓国のソウル市は、RFID(無線自動識別)技術を用いた食品廃棄物の従量制課金制度を導入するとともに、IoTを活用したスマートごみ箱の実証実験を実施しました。食品廃棄物のリサイクル率は1990年代の約2%から2023年には約98%へと上昇したほか、当該実証事業により、収集頻度は66%、収集コストは83%削減されました。
チュニジアのスファックス市シテ・エル・ハビブ地区では、経路の分析とテレマティクス技術の活用によって、燃料消費量を最大57%、収集時間を最大29〜48%削減につなげました。
ベナンのコトヌー市では、収集車両にGPS追跡を導入し、計画ルートの順守と収集漏れの削減を図りました。同システムによって、年間の廃棄物収集量は43万トンから47万トンへと約9%増加した一方、埋立地への運搬回数は約500回削減されました。
スペインのバルセロナ市は、複雑な都市の廃棄物システムを長年にわたるデジタル投資によっていかに近代化できるかを示す好例ともいえます。同市では統合プラットフォーム、RFID技術を搭載したスマートごみ箱、空気輸送による収集、成果連動型契約の導入によって、サービスの監視や委託業者の監督が強化され、業務効率も高まりました。また、太陽光発電式の自動圧縮ごみ箱の導入によって、回収コストが従来のごみ箱の8分の1に削減されました。
本報告書は自治体や廃棄物処理事業者に向けて、デジタルツールの選定から導入までの手順を実践的に解説しており、主に4つの分野を取り上げています。
廃棄物分野のデジタルソリューションは、広範な改革と一体的に進めることで、低コストながら高い効果につながります。本報告書は、デジタル化を成功させるには、明確なガバナンス、強固なデータ管理、段階的な導入、職員の能力、そして市民・事業者との継続的な関与が不可欠であると指摘しています。
報告書について
報告書「廃棄を再考する:廃棄物管理のデジタル化に向けた実践ガイド」は、韓国政府、日本政府、スイス政府の支援を受けて世界銀行グループの一員であるIFCとEunomia Research and Consultingが作成しました。
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