Story

市場全体の成長を目指した仕事

2019年8月13日
A view of Cambodia's capital, Phnom Penh - one of the fast-growing cities in Asia.

Photo credits: Iwan Bagus/IFC

中野ちえみ / Chiemi Nakano

セクター経済開発効果部門

金融セクターエコノミスト

ワシントンDC勤務

経歴

  • IFC入社以前は米州開発銀行ペルー事務所、ワシントン本部およびニカラグア事務所
  • ゴールドマンサックスアセットマネジメント
  • ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院

大学時代でのメキシコ留学をきっかけに、将来的には「誰でも頑張れば活躍できる世界をつくる」ことに貢献したいと考え始めました。大学卒業後に就職した民間金融機関ではそのために必要となるビジネススキルと金融の知識を深め、その後アメリカの大学院で国際経済及び開発に関する知識を身に着けました。大学院在学中に入行した米州開発銀行では、ペルー及びニカラグアの現地事務所での勤務を経験したのですが、特にニカラグアでは現地のNGOおよび中央政府への融資案件を担当する中、「それぞれの地域の政治・社会・文化を理解したうえで現地の方々と共に仕事をする」、ということにとても充実感を持ちました。

現在はIFCにて、金融セクターエコノミストとして主にラテンアメリカ地域における融資案件の開発効果分析を担当し、1つ1つの投資案件がどのように金融セクターの成長と貧困撲滅に貢献するのかを分析する仕事をしています。IFCでは案件レベルにおける直接の開発効果だけでなく、市場全体の開発課題を分析したうえで、その課題克服に貢献することを目指した融資案件を行います。この後者の側面をIFCでは「マーケット・クリエーション(市場を創造する)」と呼んでいるのですが、これの達成を目指すにはそれぞれの市場の歴史や政治経済、法制度や社会構成などいろいろな側面を良く調べ分析することが重要です。エコノミストとしてその分析を担当し、投資案件を投資担当官の同僚とともに作り上げていくプロセスをとても楽しく思います。

 

世界銀行グループのミッションと協力体制

 

IFCは民間セクター向けの融資を行う機関ですが、その最終目的は民間企業のサポートを通じた貧困撲滅と経済開発にあります。そのためIFCでは行うすべての仕事において、開発効果を図りモニタリングすることが重要です。2018年初めにAIMM(エイム)という新しい開発効果分析のツールが導入されました。それを使い私たちは案件がどのように金融商品へのアクセスや質の向上、投資インフラの設備、デジタル化によるサービス効率化、貧困地域へのサービス拡大など、色々な開発課題の克服に貢献できるのかを分析します。このシステムの確立は開発効果分析の効率化だけでなく、開発金融機関としてのアカウンタビリティの観点からも重要です。また私にとってもう一つの仕事の醍醐味は、世界銀行グループ全体で協力しながら、官民両方のアングルで開発課題に対し一緒に取り組む機会があるということです。多くの開発途上国では制度上の問題が金融セクターの成長の妨げになっているという現実がありますが、そういったケースではIFCからの民間企業を通じた「ボトムアップ」のサポートだけではなく、国際復興開発銀行(IBRD)および国際開発協会(IDA)を通じた国レベルでの制度上の整備など「トップダウン」のサポートも併せて総合的に開発課題に取り組みます。官民それぞれの分野に特化した専門家の同僚たちから知恵を借り議論をしながら、いかに貧困撲滅と経済開発に貢献できるか考えながら働いていくことができます。

私はIFCの最終的な「顧客」はそれぞれの国の貧困層の人々だと考えて仕事をしています。そのためにはそうした「顧客」へ、暮らしをよくする機会とリソースをお届けできる力を持った民間企業を見つけ、サポートするということが私たちの役目です。民間融資の知識を持ちながら、そういった目的のために仕事をしたい方にはまさに最適の、充実感を持って働くことができる環境があるのがIFCだと思います。