2023年8月30日、シンガポール—アジア太平洋地域における気候変動対応や中小零細企業、女性、農業従事者への支援プロジェクトに対する投融資額が過去最高となりました。これらの資金は、気候変動、ジェンダー不平等、食料及びエネルギー安全保障、インフレ昂進などの重複する危機や課題に直面する中で、貧困の軽減と繁栄の促進に資するものです。
新興市場の民間セクターに特化した世界最大の開発金融機関である 国際金融公社(IFC) は、アジア太平洋地域において、6月30日終了の直近の会計年度に108 のプロジェクトを手掛け、過去最高となる110 億ドル(前年比10%増)の投融資を承認しました。この内訳は、自己勘定分からの長期投融資額が47億ドル、資金動員分が34億ドル、貿易促進のための短期貿易金融やサプライチェーン融資が29億ドルとなっています。
IFC 自己勘定分からの長期投融資分の内39 パーセントは、気候変動対応と海洋プラスチックごみへの取組みを支援するプロジェクトに投融資されています。気候変動に対して最も脆弱で、プラスチックごみの主要な排出国となっている国が多い同地域においては、これらの問題は深刻となっています。手掛けたプロジェクトは、モンゴル初のグリーンボンドやタイのブルーファイナンスから、インドの電気自動車、南アジアや東南アジアにおけるエネルギー移行を支援する価格設定インセンティブを伴うサステナビリティ・リンク債と多岐にわたります。
同地域の金融機関には、過去最高となる47億ドルの投融資を行っており、女性が経営する企業を対象とした160万件を超えるローン提供を通じ、中小零細企業の金融アクセスの改善が期待されています。中小零細企業は、同地域経済の根幹を成しており、企業数の97 パーセント以上を占め、労働力の半分以上を雇用しています。特に高金利下で銀行がリスクの高い融資から撤退する中で、金融へのアクセスを改善することは、雇用の創出、経済成長の促進、より包摂的な社会の育成において、とても重要となっています。
IFC の金融機関への投融資は、必要なサービスを十分に得られていない人々が保険商品にアクセスするのにも役立っています。他のプロジェクトでは、50 万件以上の安価で多くが環境配慮型の住宅向けのローン提供が見込まれており、地域全体の金融包摂を改善します。
過去最高となる24億ドルの投融資に加え、アドバイザリー業務においては、45%の目標に対し、69%のプロジェクトにおいてジェンダー平等の改善に焦点を当てています。同地域における顧客企業の取締役会でIFCの指名取締役のうち女性が69%を占めており、2030年までに50%を達成するというIFCのグローバルな目標を大幅に上回っています。改善が現在のペースで進むとすると、ジェンダー格差を埋めるのに131年要するという世界的な予測に対し、東アジア太平洋地域では189年、南アジアでは149年かかると試算されています。多様な課題とプレッシャーが重なり、女性の労働力参画が低迷する中、ジェンダー平等の推進を支援する投融資が重要となっています。
重複する危機は、すでに限界に達している同地域の食料システムにさらなる負荷をかけており、何百万人もの人々が貧困に陥り、長年にわたる開発の成果を帳消しにしました。 IFC は、バングラデシュのコメ市場の強靭性を高める融資を含め、地域の食料安全保障を改善するプロジェクトに投融資を行いました。これは、食料危機に対応するために設立された60億ドルの融資ファシリティである、グローバル食料安全保障プラットフォームを通じた、IFC初の投融資案件となります。昨年度の IFC プロジェクトは、特に女性農業従事者を対象に、地域内の 13 万人以上の農民の生計を改善すると見込まれています。
「数多くの課題に直面する中、アジア太平洋地域の活気に満ちた民間セクターは、域内最大の開発課題を克服できるよう支援する上で増々重要な役割を果たしています」とIFCアジア太平洋地域担当副総裁のリッカルド・プリーティは述べています。 「過去最高の実績を達成したこの一年は、民間セクター支援における同地域のIFCのリーダーシップを強固なものにし、世界銀行グループのエボリューション・ロードマップの目標実現を可能にします。」
接続性と包摂性を牽引するデジタル化も、アジア太平洋地域における前年度の投融資の注力分野です。IFCが手掛けたプロジェクトは、最先端の海底ケーブルシステムを介してモルディブを世界のインターネット高速通信網に接続するための投資や、インドネシアの中小零細企業が直面する課題解決に特化したソーシャル・コマースのスタートアップ、デジタル国家決済システムの構築に関するフィジー、サモア、ソロモン諸島の政府への助言業務まで多岐にわたります。
その他のプロジェクトとしては、インドネシアの医療サービスやフィジーの保育サービスへのアクセス増加や、カンボジアの物流インフラ改善、経済危機が続くスリランカの3つの国立銀行に対する通貨スワップ・ファシリティを通じた支援などがあります。
IFCについて
世界銀行グループの一員であるIFC は、新興市場の民間セクターに特化した世界最大規模の国際開発機関です。途上国で市場と機会を創出するため、IFCは持てる資金、知見そして影響力を活かし、世界100カ国以上で活動しています。2023年度、各国が世界的な複合的危機による影響に取り組む中、IFCは、民間の力を活用して極度の貧困の撲滅と繁栄の共有を促進するべく、途上国の民間企業と金融機関に対し、過去最高となる437億ドルの投融資を承認しました。詳細はwww.ifc.orgをご覧ください。
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