2021年7月9日、ダカール(セネガル) – アフリカにおける新型コロナウイルスワクチンの製造を拡大するため、IFCはダカール・パスツール研究所(IPD)と協力することを発表しました。IPDは、ワクチン製造メーカーであるとともに、アフリカにおける公衆衛生の改善を支援する医療研究に特化した非営利財団です。
IFC及びフランス開発庁(AFD)、米国国際開発金融公社(DFC)、欧州委員会(EC)、欧州投資銀行(EIB)の4機関は、IPDに1,400万ドルのグラント(無償資金)を供与するとともに、プロジェクトの開発を支援し、新型コロナウイルスやその他のワクチン製造の中核となるハブ拠点の立ち上げを支援します。また、日本政府も、IFCに設置された包括的日本信託基金(CJTF)を通じて資金支援を行います。この資金は、IFCのグローバル・ヘルス・プラットフォーム(GHP)‐ワクチン製造やそれに関連する取組み支援を目的とする枠組み‐に向けられます。
「アフリカにおける新型コロナウイルスワクチンへの公平なアクセス及び供給は喫緊の課題である。IPDは、セネガル政府とパートナー(IFC、AFD、DFC、EC及びEIB)のサポートを得て、WHOの事前認証を得た黄熱病ワクチン製造における80年の実績を活かし、新型コロナのワクチン生産能力拡大を通じ、この難題の解決に取り組む。このパートナーシップはアフリカにおける持続可能な医療保障体制の構築において重要な一歩である」と、IPD所長であるアマドゥ・アルファ・サル博士は述べた。
今回の協力発表は、アフリカ大陸で感染者数が急増し、また他の風土病も広がる中、アフリカ各国政府が国際社会に新型コロナウイルスに対応するため、ワクチンの供給拡大を呼びかけ実現したものです。WHOによれば、アフリカにおける新型コロナのワクチン接種率は、人口全体のわずか1%強となっています。
「アフリカにおける域内でのファスト・トラックによるワクチン製造は、この前例のないパンデミックに対処し、今後の新型コロナ感染の波を最小限に抑えるために最優先すべきものである」とマクタール・ディオップIFC長官は述べた。「このパートナーシップは、グローバルな医療危機の際し、取り残されることが多いアフリカの各国において持続可能なワクチン製造体制を整えていく貴重な先例となるものである。」
アフリカは、ワクチン供給のほとんどを他国に依存しており、地域内で供給の99%を輸入で賄っています。アフリカ連合とアフリカ疾病管理予防センター(CDC)は、2040年までにアフリカ大陸で消費される通常のワクチンの60%を域内で製造することを目指しています。アフリカCDCは、セネガルをアフリカのワクチン製造におけるハブ拠点の3つの候補地の一つとしています。
この度のIFCとIPDの協力は、その目標達成を支援するためのものです。ダカールにあるIPDのワクチン製造施設の生産能力を大幅に向上させることで、まず最初のステップとして、新型コロナウイルスのワクチンを製造し、中期的に他のワクチン製造へと拡大させていくことを予定しています。本プロジェクトは総額2億ドルと見積もられています。
IPDでは現在、黄熱ワクチンを製造しており、年間500万から800万回分のワクチンの生産能力を有しています。同研究所は、アフリカでワクチン生産においてWHOから事前認証を受けている唯一の製造拠点であり、新型コロナのワクチンが製造できる唯一の施設でもあります。IPDは、新型コロナのワクチン生産拡大に向けての包括的な計画を打ち出しており、2022年までにはアフリカ大陸におけるワクチン需要の20%以上を供給することを目指しています。
IPDの製造施設支援に際し、IFCとそのパートナーと共に、米国国際開発庁(USAID)、プロパルコ、ドイツ国際協力公社(GIZ)、ドイツ復興金融公庫(KfW)、英国外務・英連邦・開発省(UK FCDO)などの機関も支援を表明しています。
世界銀行グループは、ワクチンをより多くの人々に届けるため、生産から確保、物流にいたるまでの支援拡大を特にアフリカを中心に強化しています。IFCは、民間セクターと連携して、途上国におけるワクチンの生産拡大を図っており、IPDへのこの度の資金提供は、2021年6月にプロパルコ、ドイツ開発金融機関(DEG)、DFCと共に、アフリカで新型コロナの治療薬とワクチン製造において主要な役割を果たしている南アフリカを拠点とする大手製薬会社であるアスペン・ファーマケア社(Aspen Pharmacare Holdings Limited)に対し実施した6億ドルの協調融資パッケージに続くものとなります。
IFCは、2020年3月以来、新型コロナ関連のプロジェクトに18億2,000万ドルの投融資をコミットしており、そのうち11億5,000万ドルはグローバル・ヘルス・プラットフォーム下で実施されています。
IFCについて
世界銀行グループの一員であるIFC は、新興市場の民間セクターに特化した世界最大規模の国際開発機関です。IFCは、世界100カ国以上で資金、専門知識そして影響力を駆使することで、途上国において市場と機会を創出するための支援を行っています。極度の貧困の撲滅と繁栄の共有を促進するべく民間資金を最大限活用し、2020年度は途上国の民間企業と金融機関に対し220億ドルの投融資を行いました。詳細は、www.ifc.orgをご覧ください。
IPDについて
ダカール・パスツール研究所(IPD)は、研究、研修、教育、専門的な知識の提供やワクチン製造を通じて、セネガルとアフリカの公衆衛生に寄与することを使命とするセネガルの公益財団の一つです。IPDは、国連機関に黄熱ワクチンを供給するWHOによる事前認証を受けた4つの製造メーカーの1つでもあります。
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