Story

学生時代の憧れ

4月 12, 2023

塩野香織 / Kaori Shiono

オペレーションズ・オフィサー/ Operations Officer

カイロ事務所勤務

経歴

  • 2020年 国際金融公社(IFC)入社。アンマン事務所に一年間在籍したのち、カイロ事務所勤務 
  • 2001-2019年  JPモルガン証券、新生銀行、 メリルリンチ日本証券・バンクオブアメリカ東京支店にて勤務
  • 2001年    ジョージタウン大学大学院修了 (Master of Science in Foreign Service)                   1999年 慶應義塾大学総合政策学部卒業

高校卒業まで関西の公立の学校に通い、パスポートを取得したことがある近親者が一人もいないという環境で育ちましたが、幼い頃から海外に興味があり、視界に入る英単語、文法、洋画の台詞等を片っ端から丸暗記することで、中学生の頃には英語が話せるようになっていました。そして高校二年生の時にアメリカの高校に一年間交留学する機会に恵まれ、発展途上国を含む多国籍バックグラウンドの留学生仲間と過ごす楽しさや世界の貧困問題を実感したことをきっかけに、国際公務員という職業に憧れを抱くようになりました。高校留学中からフランス語やスペイン語も勉強し始め、大学生の頃に東京のNPOでインターンをしようと面接に行くと「フランス語ができるなら来月から西アフリカに行ってください」といった感じで世界が大きく広がっていきました。その後インドでのインターン、一年間の大学交換留学、二年間の大学院留学、ワシントンD.C.のシンクタンクや国連機関でのインターンを経て、まずは専門性を磨ける職務経験があった方がいいと思い、外資系投資銀行に就職しました。

投資銀行部門のアナリストとして数年間多忙な日々でしたが、出産を機に職業人生が激変しました。実家が関西のため育児サポートを得るのが難しく、その後の16年間は出張が少ないリスク管理部門の仕事で育児とのバランスを保つことを優先しました。そして娘が成長し母親業の比重が減った頃、IFCが積極的に日本人職員を採用していることを知り、迷わず応募しました。子供の学校のことなど懸念はあったものの、かつて憧れていた国際機関に転職するチャンスは最後かもしれないと思い、ひとまず行動に移しました。途上国に一度は住んでみたいとは思っていましたが、アラビア語圏は全くの想定外でした。そしてヨルダン勤務が決まったものの、コロナ禍で赴任できないまま東京で在宅リモート勤務がスタートしました。その後、組織再編でカイロ事務所に所属が変わり、2021年9月にようやくカイロに娘と共に赴任することができました。

 

IFCのアドバイザリー業務

IFCでは、中東アフリカの金融機関へのアドバイザリー業務を担当しており現在はフランス語圏諸国の案件に主に携わっています。オペレーションズ・オフィサーはプロジェクト・リーダーとして、プロジェクト提案書の作成、予算の取得と管理、プロジェクト・メンバーの選定、スケジュール進捗管理等、金融機関向け業務改善プロジェクトの運営全体を任されます。また、個別の金融機関ではなくセクターレベルで金融機関もしくは中小企業向けにワークショップや研修も行い、その国の政府機関や中央銀行、銀行協会、商工会議所とやり取りすることもあります。プロジェクトの内容や同僚のバックグラウンドも多種多様で、70人程度が所属するアフリカ金融機関アドバイザリー・チームには、現在日本人は私一人しかいません。入社して2年半経った今でも飽きることのない新鮮な毎日です。途上国にいると、日常生活でも仕事でも想定外の出来事が頻発しますが、それを含めてとても貴重な経験になっていると日々実感しています。

 

IFCに興味がある方へのメッセージ

人生何事もタイミングや運に大きく左右され、自助努力ではどうしようもないことが多々ありますが、無理せず自分にできる目の前のことをこなし、進路の選択に迷った時は少し大変そうな方を敢えて選んで冒険してみる。そうしていれば、なにか思い通りにいかなくても後悔することなく、自分に合った道が開けてくると思います。アラビア語もできないのに40代でエジプトに子連れ赴任して、エジプトで錆び付いたフランス語を使う機会に恵まれるとは、3年前にIFCに応募した時には全く想像もしていませんでした。あの時無謀にも思える一歩を踏み出したおかげで、私と娘の人生がさらに豊かなものになりました。語学は可能な限り若いうちに磨きながら、訪れたチャンスが想定していたものとは少し違っていたとしても飛び込んでみてから考える、というスタンスで気軽に応募していただければと思います。