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開発途上国の新型コロナ対策に 必要な医療品を確保する

2020年7月28日

世界中の国々が新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策に追われる中、需給ギャップの問題が明らかになった。 フェイスマスク、人工呼吸器や検査用キットの絶対的な供給不足だ。

世界保健機関(WHO)によると、フェイスマスクの需要は、現在の世界における生産能力の4倍と推定されている。人工呼吸器の場合は、需要は既存生産量の10倍となる。 WHOとビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団によると、今後4か月間で世界は3億を超える検査キットの不足に直面する可能性がある。

これは、憂慮すべき傾向である。医師や看護師は、自身と患者を感染から守るために、マスクやその他の個人用防護具(PPE)を必要としている。徹底した検査と公共の場におけるPPEの使用は、各国が経済を安全に再開するための鍵となる。

この供給ギャップを埋めるのは容易ではない。 IFCは、世界的な需要を満たすだけの生産・供給能力の拡大には600億米ドルを超える投資が必要であると試算する。そのうち、治療薬と診断薬、COVID-19の潜在的なワクチンの生産・供給には、今後2年以内に360億米ドルが必要になると見積もる。世界中で、企業は人体に安全なワクチン開発を競い合っているが、世界の総人口分のワクチン供給は途方もない大仕事だ。最大の課題の一つは、低所得国の人々に必要な接種量を確保することだ。

これを念頭に、IFCは、マスク、人工呼吸器、検査キット、そしてゆくゆくはワクチンを含め、パンデミック対策に必要となる重要な医療・医薬品の開発途上国への供給を増やすために、40億米ドルの資金調達プラットフォームを立ち上げた。

グローバル・ヘルス・プラットフォームは、医療・医薬品メーカー、重要な原材料のサプライヤー、医療サービス・プロバイダー等に資金提供し、開発途上国に提供される医療品やサービスの拡大を狙うものだ。世界銀行グループの一員であるIFCは、自己資金で20億米ドルを拠出し、パートナーからさらに20億米ドルを動員する。

「開発途上国でパンデミックが急拡大し、重要な医療・医薬品とサービスの供給はますます制限されている」とIFCの最高執行責任者であるStephanie von Friedeburgは語る。 「IFCの新しいプラットフォームは、これらの国々にとって命綱となると同時に、よりレジリエントな医療体制の基盤を構築するのに役立つ。」

投融資は、先進国と開発途上国の既存および新規の顧客企業に提供される。開発途上国が必ず同プラットフォームの恩恵を享受できるようにするために、先進国に拠点を置く企業が投融資を受ける場合は、必ず供給シェアの一部を途上国に割り当てることが義務付けられる。

しかし、レジリエンスの向上とは、低所得国への医療・医薬品供給を増やすことだけではない。これらの国の生産能力の向上を支援することである。同プラットフォームの一部として、IFCは投融資を創出するためにプロジェクト開発の早い段階から積極的に関与する「アップストリーム事業」における取り組みを活かす。 IFCは、医薬品有効成分、PPE、医薬品、医療機器などの医療品の生産を多様化する機会を特定し、開発途上国の生産能力の拡大を支援する。

「開発途上国の生産基盤を構築することで、長期的に途上国が公衆衛生の危機に対処できるように支援している」とIFCの製造、農業、サービス業界グループのシニア・ディレクターであるTomasz Telmaは述べている。 「そうすることで、途上国の経済回復に伴い、民間投資と雇用創出も促進される。」

同プラットフォームは、IFCが途上国の企業の事業継続と雇用維持のために導入した 80億米ドルのファスト・トラック投融資ファシリティ 下に設けられた。導入後4カ月で、IFCは既に同ファシリティのうち37億米ドルを民間セクター支援、特に零細・中小企業の活動支援に拠出している。

IFCの支援は、開発途上国のパンデミック対策や疾病監視を強化し、公衆衛生の取組みを改善するために幅広く迅速な 支援 を目指す、世界銀行グループの取り組みの一部である。新しいプラットフォームは、世界銀行が既に取り組んでいる途上国の医療品調達を支援する取組みを補完するものである。

世界銀行は、開発途上国政府に代わって医療品企業と直接、契約交渉する調達プログラムの導入を促進している。契約が成立すると、世界銀行が企業に直接支払う仕組みで、現在は複数の低所得国を含む56か国が参加しており、全体で98か国の参加を目標としている。

2020年7月発行