ウェミィ・インダストリーズ のポール・アデドイン・オデュナイヤ CEO 写真:ウェミィ・インダストリーズ提供

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ゲイリー・サイドマン

ナイジェリアで生まれ育ったポール・アデドイン・オデュナイヤ氏は、イギリスでキャリアの大半を積んだ。同氏は会計士としての経験を積む中で、ITやエネルギー、マーケティングといった多岐にわたる分野の経営に携わり、その後、家業であるウェミィ・インダストリーズ(Wemy Industries)を継ぐべく、故郷ナイジェリアに戻った。会計士だったオデュナイヤ氏の父と婦人科医だった母が、1979年に設立したウェミィ・インダストリーズは、現在、ドクター・ブラウンズとナイチンゲールというブランド名でフェミニンケア、ベビーケア、及び高齢者介護関連の商品を生産している。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まってまもなく、オデュナイヤ氏は、ウェミィ・インダストリーズでもマスクや個人用防護具(PPEs)の生産に踏み切った。しかし、同社がこの新規事業で成功するには、PPEの生産に欠かせない材料の不織布も製造しなければならなかった。IFC Insightsのインタビューで、オデュナイヤ氏は、パンデミックを契機に、それ以前から計画していた野心的なビジネス戦略を実行するべく、アクセルを踏み込んだ経緯について語った。

Q. PPE製品の生産を開始するにあたり、ウェミィ・インダストリーズの生産体制を見直されました。この決定に至るまでの経緯を教えてください。

A. PPE分野への事業拡大は以前から考えており、リサーチを続けていました。本業がヘルスケア分野なので、PPEのような製品は、言うまでもなくかなり相性の良いものです。この地域では(材料の)コストが全てで、その材料の大半を輸入に頼っています。生産コストを下げ、低価格で顧客に商品を届けるためには、(自ら材料を生産する必要があり)さらなる投資が必要でした。このことから、不織布の生産ラインを立ち上げるのが望ましいとの結論に至りました。

世界銀行とIFCから、UK Aid の資金拠出を得て技術的な助言と支援を受ける機会をもらい、我々はとても喜びました。新型コロナとこれによる公衆衛生上の危機によって世界中が困難に直面する今、我々が医療関連製品の現地生産を行うのは、国家の安全保障の観点から極めて重要です。世界的な公衆衛生危機が一度サプライチェーンに影響を及ぼすと、必要な物資を十分に調達できなくなり、そのような製品は現地で生産しなければなりません。資金力のある国々との競争では、我々はどうしても不利です。ですから、国や企業が戦略的に投資を行い、ヘルスケア・ソリューションを確保することが肝要です。ワクチンでも同じことが言えます。ワクチンを製造する工場とリソースを持つ国がワクチンを最初に手にし、(工場とリソースを)持たざる国は最後になるということです。

Q. 医療用マスクの生産は、貴社の長期的戦略と合致していますか。

A. マスクを含めPPE製品の生産は、弊社の医療用品の製造事業と相性の良いものです。おむつも医療用品の一つですし、病院用の(ベッド用)敷きパッド、マスク、そして飛散する血液から身を守る使い捨てガウンも医療用品です。これら医療用品全てに共通しているのが、不織布(を材料としていること)です。不織布はこれら全ての製品に使われており、地域はもちろん世界的にPPEへの需要が増大している今日、不織布(製造)工場に投資するという我々の判断は理に適っていたわけです。これは弊社のビジネスにとり、ごく自然な流れなのです。

不織布は、PPEの生産に不可欠です。マスクの約70%が不織布で作られています。病院用のPPEガウンにいたっては100%です。包帯も不織布で作られています。現在弊社で使用する材料全体に占める不織布の割合は40%に達しており、不織布の製造はとても理に適なったものと言えます。ベビー用・高齢者用のおむつ、除菌シート、マスク、サニタリー用品といった、医療用品の多くで不織布を使用しています。

ナイジェリアは石油化学製品の生産国です。つまり、不織布の製造に必要な基本的な原料は揃っています。我々が住む地域では、工業化が今後の発展に不可欠として、その必要性が叫ばれています。変化を起こすには、輸入を減らし、商品を現地生産し、それを輸出しなければなりません。これは弊社の発展、言い換えるならば、原材料を消費する立場からこれを生産する立場へ、そして最終的にはその輸出者になるという観点からも重要です。この事業モデルは目新しいものではありません。バングラデシュ、中国、インド、ポーランドの企業でも同様です。

Q. PPEビジネスは貴社にとり、持続可能なビジネスになり得るでしょうか。

A. 弊社は既に、毎分約800枚の生産が可能なマスク製造機を導入しています。商品の多様化(と不織布の製造)は、我々のビジネスの発展を支える優れた戦略と言えます。不織布製造への投資は、長期にわたるリードタイムや為替リスクをヘッジする強力な予防策となります。そしてPPEは、最前線で働く人々を感染症から守るために不可欠な商品です。

Q. パンデミック後、あるいは世界的にワクチン接種が進んだ場合、PPE市場はどのようになっていると予測しますか。

A. マスク着用は今後も続くと思われます。新型コロナ危機の収束にどれ位かかるのか分かりませんし、あと12年かかる可能性もあります。この種のビジネスへの投資について、機器に投資した場合、危機が収束すればその機器類は不要になるのではないかとの懸念を指摘されますが、我々は既に同様のビジネスを展開しており、新型コロナが収束しても市場は存在すると考えています。病院、製造業者、さらには航空会社は、新型コロナ収束後も当面、PPE を引き続き利用することになるでしょう。

Q. 御社を取り巻く市場はどのように変化しましたか。

A. 既にマスクについては既存の販売業者がいましたが、国中でマスクが不足したことから、普段は中国や欧州から輸入していた業者も含め、あらゆる人々がマスクを求めてやってきました。正直に言えば、顧客が多すぎて手が回らないほどでした。新型コロナの流行のピークが、まさに売上のピーク時で、手を休める暇もありませんでした。

マスク事業は容易なビジネスではありません。マスク事業参入の障壁は少ないがゆえに、戦略性が不可欠です。そのため、弊社は小売りではなくB2B(企業間取引)に注力しています。もうひとつの課題が材料の供給で、必要な材料をタイムリーに入手できない可能性があります。新型コロナ危機下で、材料の不織布が供給不足となり、我々は膨大な量の不織布を使うことから、今こそ不織布の生産に踏み切るべきだと考えました。これにより、多くの資金と時間を節約することができたのです。

 

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2021年8月発行