Case Study

セルビアにおける廃棄物発電所建設PPPプロジェクト

2019年10月19日

融資の概要

 
  • 事業主体:BEO ČISTA ENERGIJA社
  • 所在地:セルビア共和国、ベオグラード
  • 出資調印年月:2019年10月
  • スポンサー:伊藤忠商事、スエズ社、マルガリータファンドII

 

環境汚染の軽減、気候変動の緩和は、世界銀行グループの優先課題の一つです。

セルビア共和国の首都ベオグラード市では、急速な都市化が進む中、廃棄物処理が追い付かず、その最終廃棄物埋立地は適切な管理がされていない欧州で唯一残された大型旧式最終埋立処分場として、地域環境・社会への悪影響が深刻化し、社会問題化していました。

この喫緊の課題に対応するため、IFCのPPPトランザクション・アドバイザリー部門は、2014年からベオグラード市のリードアドバイザーとして、官民連携(PPP)スキームで実施する画期的な廃棄物処理発電所の建設・運営プロジェクトの事業開発及び入札においてアドバイザリーサービスを提供してきました。

同プロジェクトは、飽和状態となったベオグラード郊外のヴィンチャにある最終廃棄物埋立処分場の閉鎖と廃棄物から出る汚染水及びメタンガスの適正な処理と管理、新たにEU基準を満たした衛生的な廃棄物埋立場、廃棄物処理発電所、建設廃材処理施設の建設が含まれます。プロジェクト完成後の発電所では、一般廃棄物を焼却した余熱や埋立地から出るメタンガスを利用し、再生可能エネルギーとして熱と電気の供給が可能となり、温室効果ガス排出削減への寄与が期待されています。

2019年10月、IFCとMIGAは、ベオグラードにおける初の大型環境インフラ事業となる同プロジェクトを受注したBEO ČISTA ENERGIJA社に対し、総額2億5,957万ユーロの融資および保証パッケージを提供することで合意しました。

BEO ČISTA ENERGIJA社は、伊藤忠商事株式会社、フランスの水・環境インフラ大手のスエズ社、欧州の投資ファンドであるマルガリータファンドIIが共同で出資して設立した特定目的会社です。

IFCによる融資は、最大7,220万ユーロのAローン(自己勘定融資)、オーストリア開発銀行(Oesterreichische Entwicklungsbank (OeEB) )からの最大3,500万ユーロの並行ローン、最大3,500万ユーロのBローン、さらにカナダIFC混合型気候融資プログラムからの最大2,000万ユーロの譲与的条件による優先ローンを含みます。加えて、契約不履行を含む政治リスクに備えるため、MIGAがBEO ČISTA ENERGIJA社の投資による出資総額の90%に相当する9,730万ユーロの保証を最大20年間提供します。

同プロジェクトに関する情報は、BEO ČISTA ENERGIJA社のウェブサイト、または同社のパンフレットをご参照ください。同プロジェクトの進捗状況は、YouTubeにて動画でもご覧いただけます。

日本企業との協働案件

三井物産/2017年

サブサハラ・アフリカ:通信事業

三菱商事、三菱重工ほか/2014年・2021年

アラブ首長国連邦:水事業

三菱商事/2003・2004年

フィリピン:水道事業