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ブラジルは、世界の表流水の12%を有する、最も水資源に恵まれた国の一つだ。しかし、長年の投資不足に加え、上下水道の管理が不十分であることから、これらサービスへのアクセスは限られている。飲料水へのアクセスがあるのは人口の84%、下水道に至っては人口のわずか半分にとどまっている。

供給用に処理された水の3分の1以上が漏水により失われている中、水の問題に気候変動が加わり、水の持続的供給にかかるリスクが増大している。

ブラジルの連邦政府が最近、下水処理に関する新たな法的枠組みを承認したのを受け、リオグランデ・ド・スル州の上下水道サービス業者大手であるリオグランデ・サニテーション・カンパニー(Corsan:コルサン)は、上下水道サービスの改善に、2033年までに少なくとも100億レアル(18億ドル)を投資する計画を明らかにした。下水道の普及、効率性及び強靭性の向上などが最重要課題となっている。

 

コルサンは、水の安全保障強化のため、水資源の特定と効率性の向上に取り組む。写真:コルサン提供

送配水過程での水損失の割合は、国全体で35%、コルサンのサービス提供地域では43%を超え、この問題への対策が鍵となる。無収水(NRW)と呼ばれるこうした水の損失は、送配水システムで発生する水漏れに加え、顧客メーターの登録が進んでいないことや、データ処理のエラー、盗水、さらには、算定済水道料金の未請求といった問題が原因となっている。NRWは、収入の減少、水資源の枯渇、運営費用の上昇といった問題を引き起こし、水道事業者の財務的な持続可能性を脅かす。

「コルサンは、IFCと連携し、送配水システムの水損失を減らし、事業運営においてエネルギー効率の改善を進めていく。IFCは、ネットワークの効率性と水の安全保障の強化に必要なNRWの削減で弊社を支援する」とコルサンのロベルト・バルブーチCEOは述べる。「このパートナーシップは極めて重要であり、干ばつや洪水といった厳しい気象災害に対処する、気候変動への強靭性向上に資するだろう。」

コルサンは、IFCの気候変動のための公営企業イニシアティブ(U4C設立パートナーの一員であり、州政府が運営する水道事業者としては、ラテンアメリカ初のメンバーだ。U4Cは、新興市場で山積する課題への対処と民間による水インフラへの投資機会の拡大に向けた、公営企業のための解決案を策定する。

U4Cは、IFCのアップストリーム事業、ドナー資金を活用した助言サービスと投融資を組み合わせることで、投資資金1ドル当たりのインパクトを高めるとともに、長期的なパートナーシップの構築を目的とする。また、民間投資を促すべく、収益性の高い投資機会の特定と案件の組成に加え、技術支援も行い、効率性の向上と持続可能な経営モデルの導入を推進する。

IFCは助言サービスに加え、コルサンへの最大45,000万レアル(8,300万ドル)のグリーンローン及びサスティナブル・リンク・ローンの第一弾として、3億レアル(5,600万ドル)1次トランシェを実施した。また、日本政府の資金支援を得て実施される助言サービスにおいて、水損失削減に向け、損失の原因箇所の特定し、対策検討を支援する。IFCの融資は、同社の水損失対策プログラムと、水量計の設置、老朽化した電動ポンプや比重計の交換などを通じたエネルギー効率の改善に充てられる。IFCは、助言サービスによる支援を活かし、同社のNRWを、2024年までに現在の44%から35%未満にまで減らす予定だ。

コルサンのプロジェクトは、ブラジルの今後の水インフラ・プロジェクトの枠組みとなる可能性を秘めている。写真:コルサン提供

「上下水道の整備は、ブラジルにおけるIFCの最優先課題だ。基幹インフラへの投資は、同国の安定した水の供給と、持続可能な開発の維持に不可欠であり、我々はこのプロジェクトが、今後の水インフラ・プロジェクトのひな型となることを期待している」と、IFCブラジル担当カントリー・マネージャーのカルロス・レイリア・ピントは語る。

コルサンへの融資は、規模とインパクト拡大を目指し、民間や地方自治体などの事業会社を含め、信用力の高い公益事業会社との連携を優先するIFCの上下水道サービスのセクター戦略に沿って実施されている。

この案件は、世界でIFC初となるインフラ分野におけるサスティナブル・リンク・ローン(SLL)による融資の一つだ。SLLは、持続可能な開発目標(SDGs)に関連した目標の達成を支援するべく、金利面のインセンティブを借手に提供する。コルサンのケースでは、同プロジェクトのターゲットは「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」としたSDG6とリンクしている。ブラジルの水情報システムに正式に申告されている通り、コルサンが、2024年までに35%という水損失の削減目標を達成することができれば、融資の金利を引き下げることになっている。

過去10年間ブラジルでは、公的セクターへの投資が抑制され民間資金の活用が限定的だったため、上下水道サービスの改善が遅れてきた。しかし20207月、連邦政府の新しい法的枠組みの発効によって、同セクターの規制環境が大きく変わった。この新法の下で、ブラジルは上下水道の普及率を、2033年までに上水道99%、下水道90%まで引き上げなければならない。 

この目標達成に向け、新法は、サービスの実施を最優先課題とし、7,500億レアル(1,400億ドル)と推定される投資ニーズに応えるため、民間資金の活用を奨励している。公営企業は、融資や債券、官民パートナーシップ、新規株式公開、その他の様々な手段を通じて資金調達ができる。現在、ブラジルの上下水道サービスは国営の水道事業者が占めており、人口の4分の3をカバーしている。民間の事業者のカバー率は人口の10%未満で、残りが地方自治体となっている。

水道と下水処理は、人々の健康に欠かせないものであり、経済成長のための前提条件でもある。民間セクターの資金を活かすことで、進行する気候変動の問題を前に、リオグランデ・ド・スル州は、そこで暮らす人々とコミュニティに、大きな変化をもたらす開発成果への道を歩みだしている。

2021年8月発行