民間が開発し運営するウズベキスタン初の大規模太陽光発電所が、増大するエネルギー需要に応える。 写真:世界銀行

ウズベキスタンのナヴォイ市の東から車で約30分の所に、広大な草原が広がっている。放置されたままの用水路が、幾度となく試みられた開墾の失敗を物語っている。ひっそりと静まりかえったこの草原では、隣接する国道を勢いよく走る車の音が時折聞こえるのみだ。しかし、ナヴォイの中心に位置する閑散としたこの場所に、国内に暮らす31,000世帯以上の電力供給を賄う新たな太陽光発電所がまもなく建設される。

このプロジェクトを推進するには、まさに今が絶好のタイミングだ。ウズベキスタンでは、急激な都市化と工業化、人口増に伴う世帯所得の増加、そして新型コロナによる影響からの経済回復が進むにつれ、電力需要の増加が見込まれており、同国のエネルギー・セクターの需要に応える大規模な投資が不可欠となっていた。

世界で最もエネルギー集約度が高い国の一つであるウズベキスタンでは、総電力量の85%を天然ガスによる発電に依存している。また、電力供給インフラの老朽化が急速に進んでいることから、同国の電力システムの効率性は低く、安定供給もままならない。送配電網への設備投資にも関わらず、電力損失は純発電量の20%相当と依然として高い。

しかし、この厳しいシナリオにも明るい側面がある。ウズベキスタンは、増加し続ける同国のエネルギー需要を満たすのに十分な太陽光、風力、水力といった再生可能エネルギー源の宝庫であり、これらはクリーン・エネルギー経済への移行の推進力となる。同国政府は、再生可能エネルギーによる発電量の割合を、2016年の0.3%から、2030年までに5ギガワットの太陽光発電所の建設を目指し、最大25%まで引き上げるとしている。

新たな発電所の建設コストは147億ドルに達する可能性があり、考え得るあらゆる資金源からの資金動員が不可欠だ。官民パートナーシップ(PPP)が、この資金調達ギャップの解消の有効な手段となり得る。

世界銀行グループは、エネルギー・セクターの主な政策問題について同国政府と密接に連携するとともに、投資家の誘引を図るため、強固な規制枠組み及びPPP案件の枠組みの構築を支援してきた。太陽光発電のPPP案件を成功裏に進めることで、政府は限りある公的資金を他の優先課題に振り向けることが可能となり、新型コロナ後の経済回復を円滑に進める上でとりわけ重要となる。

連携の力

そこで、IFCは、世界銀行グループのスケーリング・ソーラー・プログラムを活用したウズベキスタン政府によるPPPプロジェクトの組成の支援に乗り出し、同国初の競争入札による電力PPP案件の実施を支えた。その結果、2019年10月に、アラブ首長国連邦のマスダール・クリーン・エネルギーが、新興国市場での最低価格帯となる2.7米セント・キロワット時を若干下回る電力価格で同案件を落札した。

開かれた、競争に基づく透明性の高いアプローチであるスケーリング・ソーラーイニシアティブは、民間資金によって系統連系型太陽光発電所を整備し、競争力のある価格を実現する政府の「ワンストップ・ショップ」プログラムだ。アフリカ以外の国で同プログラムを活用したのは、ウズベキスタンがとなる

IFCは、マスダール・プロジェクトに対し、IFC、アジア開発銀行、カナダIFCブレンド型気候変動対策融資プログラムが参加する融資パッケージを組成、また金利スワップの提供でも合意した。世界銀行が、ウズベキスタン・ナショナル・エレクトリック・グリッドへの支援で支払保証を、そして欧州復興開発銀行がマスダールに対しエクイティ・ブリッジローンを提供している。

この太陽光発電プロジェクトの事業期間は25年で、発電した電力は、新たに設立された国営電力会社であるウズベキスタン・ナショナル・エレクトリック・グリッドに販売される。同プロジェクトにより、整備済みの発電容量が100メガワット増え、電力網に年間270ギガワット時の再生可能エネルギー電力供給が可能になるとともに、年平均で15万6,000トンの温室効果ガスの排出が回避され、約1億1,000万ドルの民間資本が投融資を通じて動員される見込みだ。

先鞭をつける

このPPP事業の成功は、世界の投資家にプラスのメッセージを送るとともに、同国における今後の民間セクター参画の良き前例となるだろう。同プロジェクトは、初の太陽光発電を支援することでエネルギー・セクターの競争力強化にも寄与する。

ウズベキスタンの サルドール・ウムルザーコフ副首相兼投資・対外貿易大臣は「この画期的なプロジェクトは、ウズベキスタンにおける官民パートナーシップの初の成功例となると確信している。発電所の建設が完了し、2021年8月までに滞りなく発電所が稼働することを期待している」と述べた。

この入札の成功を受け、2020年2月、ウズベキスタン政府は、IFCの支援のもと別途400メガワットの入札プロセスを開始した。今後、合計1,000メガワットに及ぶPPP太陽光発電事業がこれに続く予定だ。

このプロジェクトは、市場に新たな民間投資家を誘引する際の、商業的に有望な事業モデルの良き前例となるだけでなく、将来的には、再生可能エネルギー・プロジェクトを通じて電力供給の強靭性を高め、ウズベキスタンの明るい未来を支える力となるであろう。

ウズベキスタンにおけるスケーリング・ソーラー・プログラムは、オーストリア財務省オランダ政府、及びスイス経済省経済事務局(SECO)の支援を受けて実施された。

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2020年12月発行