ケーススタディ:日本企業による途上国ビジネスへの支援 パキスタン: 発電事業 (豊田通商)
915d4239-c4fd-427c-8942-a14f919b4346_div
電気業 |
融資の概要 |

プロジェクト概要
事業主体
コヒノール・エナジー社
所在地
パキスタン・イスラム共和国
バンジャブ州(ラホール)
調印年月
1995年1月
スポンサー
豊田通商(旧トーメン)
サイゴール・グループ
参加公的機関
フィンランド保証機構




|

Photo: Word Bank
本プロジェクトは、豊田通商(旧トーメン)が、パキスタンのサイゴール・グループと共同で、発電能力124メガワットの大型プラントを建設したものです。
IFCは1995年1月、両社が出資するコヒノール・エナジー社の株式を15%取得。同社との間で2500万ドルを上限とする融資(Aローン)契約(2008年9月に完済)に調印しました。また、3,660万ドルを上限とする協調融資(Bローン)契約(2006年9月に完済)では、ファイナンンシャル・アドバイザー、およびリード・アレンジャーを務めました。
電力不足にあるパキスタンでは、民間資本導入政策に注力しており、本案件は1994年の民間優遇措置のもと、初めて民間主導で行われた発電事業です。
融資の背景
財政赤字のパキスタン政府が、対外債務を抑えつつ、電力不足を解消するために十分なインフラを整備するには、民間の参入が不可欠でした。
IFCはパキスタン政府に、海外投資家にも分りやすい、魅力的なシステム作りを助言しました。
本融資にIFCが参加することで、銀行団は安心して融資に参加することができました。
IFCは、ファイナンス・ストラクチャーを助言するとともに、協調融資のファイナンンシャル・アドバイザー、およびリードアレンジャーを務めました。
IFCによる開発効果
経済への影響
- 経済発展の制約条件(1)である電力不足を緩和
- 民間による発電事業参入のモデルケースとして民営化を促進
社会への影響
- 停電を減らし、安定した電力供給によって、 人々の暮らしの利便性を向上
- 従業員の労働環境の改善(健康・安全管理)
環境への影響
- 世銀グループ、および政府の規制に則した環境・安全基準(2)の適用
- 環境基準の導入によるデモンストレーション効果
コヒノール・エナジー社(KE)の地域への貢献
慢性的な電力不足で悩むパキスタンで、稼動以来12年間安定した送電を行ってきたKELは、地域住民の生活に欠かせない存在となっています。
- 安全な保守・運営、きめ細やかな電力供給で地元の信頼を獲得
- 12万~13万世帯分の電力を供給
地域社会への利益還元として、 2004年に地域住人のための診療所を創設。治療費だけでなく薬まで無料で提供しています。
- 3つの診療所で外来患者は一日100名以上
- 診療所で対応できない重い病気については病院を紹介し、治療費まで負担
2006年には小学校を開設。制服・教科書などを無料で支給するなど、教育面でも積極的に社会貢献を行っています。
注:
1. パキスタンの計画停電による損失は、全国で年間約10億ドル
2. 大気汚染、水質汚染、廃液処理、燃料流出防止、騒音、火災予防など
|