日本人職員の貢献 (小辻洋介)

Kosei Terami小辻 洋介 / Yosuke Kotsuj
IFC サブサハラ農業投資チーム
シニア・インベストメント・オフィサー
(セネガル事務所勤務)
2001年 東京大学法学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券会社投資銀行部門入社
2008年 ハーバード・ビジネス・スクール修了(MBA)、同年IFC入社
強いビジネスを生み出すことは、貧困削減の第一歩

子供の頃から、国際協力の仕事に興味がありました。キャリアを決めるきっかけになったのは、大学4年の夏休みにインドネシアのNGOでのボランティア経験でした。仕事内容は、ジャワ島中部の小さな村にホームステイをして、アスパラガスの栽培と出荷の手伝いをする、というものでした。私が働いたNGOは、熱帯でも育つ新しいアスパラの品種を導入し、その栽培を村の農民に教え、都市部に高い値段で売ることでお金を儲け、村を豊かにしていこうという試みをしていました。農業の技術もビジネスの知識もない自分がインターンとしてやれることといったら、肉体労働だけでしたが、問題意識はいくつか持って帰ることができました。一つは、ビジネスを学ぶ必要性。このNGOの活動を通じて、お金儲けが人を幸せにできるのだということを実感し、将来的にビジネスを通じて途上国に関わることが人の役に立てるのではないかと思うようになりました。もう一つは、金融を理解する必要性です。私が働いたNGOは、資金が十分になかったため、事業をボヨラリ村の外に広げることができませんでした。もし、銀行などからうまく資金を調達できれば、ジャワ島全土にアスパラ栽培を広めることができたかもしれません。そこで、いいアイディアを持った人が、事業を拡大するために、どうやってお金を調達するのかを学びたいと思ったわけです。これらの2つの理由で、いつかはビジネスと金融の知識を国際協力に活かしたいという思いが芽生え、卒業後は銀行か証券会社に就職しようと思いました。ゴールドマン・サックスから内定を頂くことができたので、そこで5年間働きました。

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ハーバードでの留学期間中に、モザンビークでのインターン経験、マクロ経済・国際金融・産業政策などの授業、途上国出身の学生や開発分野で働いてきたクラスメートたちとの議論を通じて、「途上国で競争力のある産業の育成支援に人生を賭けたい」という思いを強くしました。貧しい国が豊かになるには、そこに強い企業が生まれなければなりません。日本の歴史を振り返っても、戦後の焼け跡からソニーやホンダのような競争力のある企業が生まれ、いい商品を作ってお金を稼ぎ、雇用を生み出したわけです。また、儲けの一部を税金として政府に払い、その税金が、教育や医療といった人間開発の分野に使われたのだと思います。もちろん、ビジネスだけが大事なわけではありませんが、強いビジネスを生み出すことは、貧困削減の第一歩だと私は信じています。産業育成の分野の中でも、元証券マンとしての強みを活かして関われる分野は、途上国の企業に対してビジネス強化や事業拡大のための資金調達のお手伝いをする仕事だと思いました。サハラ以南アフリカの農業・食品加工分野の企業に投資をする現在のIFCでの仕事は、留学中に培った志を満たしてくれています。

IFC入社1年後に、西アフリカにあるセネガル事務所に配属になり、より現場に密接した経験ができています。配属後、ザンビアの畜産企業、マリの飲料企業などへの融資を実行しました。現在は、ナイジェリアの外食産業、ガーナの果物輸出会社、などへの投資案件を担当しています。クライアントである現地企業の近くで働くことで、ワシントンDCからでは見えにくい現地のビジネス事情や課題などが見えてきていると思います。一番のやりがいは、クライアントから、「君と働いてよかったよ」と、喜んで頂けることです。アフリカで経験を積む中で、いつかは、日本企業のアフリカ進出をお手伝いし、日本とアフリカのWin-Winの関係の構築に貢献したいと考えています。