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日本人職員の貢献(長越誠)

長越 誠 /Makoto Nagakoshi

製造業/アグリビジネス/サービス業部門 
インベストメント・オフィサー
シンガポール事務所勤務

 

経歴

2002年 慶應義塾大学経済学部 卒業
2011年 ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了 (MBA)
2018年 IFC入社、ワシントンDC本部勤務
2019年 シンガポール事務所勤務
IFC入社以前は、会計事務所(東京)、投資銀行(東京/シンガポール)、投資ファンド(東京)に勤務

夢から目標、そして現実へ

国際機関で働きたいと思ったきっかけは、大学時代にまで遡ります。当時は、京都議定書の採択に伴い、気候変動問題が世間の注目を集めていた頃でした。温室効果ガス削減のために先進国及び途上国の民間セクターが果たすべき役割についてしきりに議論され、私はいつかこのようなテーマに関わる仕事がしたいと漠然に思っていました。しかしながら国際機関で働くことは、私にとって夢のまた夢でした。何しろ高校卒業まで海外はおろか、地元からほとんど出たことのない環境で育ち、英語を話せるどころではなかったのです。

まずは英語力を上げる必要があると考え、大学時代に交換留学プログラムを利用してアメリカの大学に一年間留学しました。また大学卒業後は、専門性をつけるべく、会計事務所でM&Aのアドバイザリー業務に携わりました。メンバーの半分以上が外国人というグローバルなチームの一員として、クロスボーダー案件をいくつもこなし、忙しいながらも充実した毎日を過ごしていました。しかし数年経った頃、国際機関でのキャリアを本格的に目指すため、ビジネススクール進学の準備を始めました。ビジネススクール出願にあたっては、必ずエッセイで自分のキャリア目標について書くことを求められます。エッセイの題材を探していて、辿り着いたのがIFCの投融資業務でした。ここでようやく「国際機関で働く」という漠然とした夢が、「IFCの投融資業務を通じて、途上国の民間セクターの開発に貢献する」という具体的な目標に変わったのです。

目標が具体的になったものの、その達成までの道のりは決して平坦ではなく、むしろ山あり谷ありの連続でとても長いものでした。ビジネススクール卒業後、IFCに何度も応募しましたが、三度目の挑戦でようやく入社にこぎつけました。その期間、投資銀行と投資ファンドで働いたのは、IFCで求められるキャリアを創るためでした。業界や投資/財務に関する知識を深めるのはもちろんのこと、自分から手を挙げて途上国の案件に積極的に関わりました。全くの偶然ですが、担当したアフリカのM&A案件にIFCも関与していたことが分かり、後々の面接で強力なアピール材料になりました。最終面接で内定をもらった瞬間、目標達成に邁進してきた日々が走馬燈のように駆け巡りました。ふと気が付くと、エッセイで書いたキャリア目標が現実になるまで、およそ十年の月日が流れていました。

インベストメント・オフィサーとしての仕事の醍醐味

現在はインベストメント・オフィサーとして、アジアの製造業/アグリビジネス/サービス業における投融資を担当しています。私は、この仕事の醍醐味は大きく三つあると感じています。

一つ目は、途上国の発展への影響力の大きさを実感できることです。IFCは、その国にとって重要な役割を占める案件を多く手掛けています。例えば、私が現在担当するミャンマーのランドマーク・プロジェクトは、オフィス/商業施設/ホテル/分譲住宅からなるヤンゴン市中心部の大規模複合再開発事業であり、現地で多くの雇用を創出するだけでなく、完成後はヤンゴン市の中核施設として発展の基盤になることが期待されています。このような案件を通じて、同国の発展の一端を担うことに大きなやりがいを感じています。

二つ目は、案件の面白さです。担当セクターは製造業/アグリビジネス/サービス業と幅広く、また担当国についても、東はパプアニューギニア、西はアフガニスタンまで広範囲にわたります。同じセクターでも国が違えば状況は異なり、その結果、案件は一つとして同じものがありません。文字通り多種多様な案件に携わる経験は、飽くなき好奇心と探究心とを自ずと醸成すると共に、私を突き動かす原動力になっています。

三つ目は、チームのダイバーシティです。現在所属する十数人のチームですら、メンバーの国籍は十ヶ国にわたり、またそのバックグラウンドはそれぞれ異なります。チームのダイバーシティは、毎日のように新たな気付きと学びをもたらし、また多様なバックグラウンドを有する優秀なメンバーから大きな刺激を受けています。

(気の置けない同僚との食事)

IFCを志望する方へのメッセージ

「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。」 これは、シドニー五輪女子マラソンの金メダリストである高橋尚子さんが高校時代の恩師から送られた格言だそうです。IFCのキャリアへの入口は相当に狭き門であり、私がここへ辿り着くまでには期せずして長い時間を要しました。途中で諦めようと思ったことは一度や二度ではありません。それでも諦めなかったのは、二十年前に描いた夢、そして十年前に立てた目標、これは自分自身の本質に沿ったものであり、これ以外に自分の生きる道はないのだという強い信念があったからです。そして私は、冒頭の格言を胸に秘め、いつか来るチャンスに備え、常に準備することを心掛けていました。

そして希望に満ち溢れてIFCに入社して二年半、必ずしも順風満帆というわけではありません。仕事の主戦場は途上国ゆえ、想定外の事態が頻繁に起こりますし、またCOVID-19発生以降、投融資先企業の経営が立ち行かなくなり、投資家として厳しい判断を求められる極めて困難な状況にも少なからず直面しています。それでもやはりこの仕事が好きだと思えるのは、今まで抱いていた信念が確信に変わったことの証左と言えるかもしれません。 最後になりますが、本稿を読んで、開発金融の最前線で共に戦う、高い志と情熱を持つ仲間が一人でも多く増えれば、私にとって望外の喜びです。