ザポリージャ市内のバス停。写真:ザポリージャ市議会提供

Have few minutes? Help us improve how content is organized on IFC.org by completing a brief survey.

ウクライナの都市ザポリージャが、スマートシティ構想に取り組んでいる。コミュニケーションやデータ通信のためのデジタル・ネットワークの構築、車いす用スロープ板を備えた電気バスとバッテリー式トロリーバスの導入、市街地の公園や大通りの改良や最新の道路整備用機器の装備を目指す。

ウクライナ南部に位置するザポリージャは、人口の多い同国最大の工業都市の一つだ。しかし、インフラの多くがソビエト時代に導入されたもので、たとえば、電動輸送インフラの要となる変電所やメンテナンス作業車の大半が 1960~1970年代製で劣化が進んでおり、こうしたインフラの老朽化問題に取り組んでいる。

長年にわたり、ウクライナの自治体サービスは投資不足という問題に悩まされており、多くの都市が安定した公共サービスを提供できない状況にある。さらに、ザポリージャのような都市部に同国の人口の約 70%が集中しており、資金調達が急務となっている。政府だけでは、こうした深刻なインフラ問題に対処することは困難であり、投資の促進と地域インフラ強化には、力強い民間セクターの存在が不可欠となってる。

こうした問題に応えるべく、 IFCは、ウクライナで『シティ・プログラム』を展開し、資金調達と助言サービスを通じて成長軌道にある同国の都市を支援している。ザポリージャでは、スマートシティ戦略の導入で市議会と早い段階で協力し、データ分析とLoRaWANネットワーク(バッテリー式の機器やセンサーをワイヤレスでインターネットにつなげるシステム)のようなスマート・テクノロジーを活用することで、市民生活の質の改善と都市機能の最適化に取り組んでいる。

また、同プログラムを通じ、 Eガバナンスの強化と地域コミュニティにより良いデジタル・サービスを提供するスマートシティ・プラットフォームの立ち上げでも同市を支援する。具体的には、ヒートパイプや送水管の圧力をリアルタイムでモニタリングし、スマート・トラフィック管理と安全対策を行い、公共サービスの質の確保などを目指す。

IFCは、環境面・社会面のリスクに対処するべくマネジメント慣行の改善も支援し、同市初となる国際的な信用格付けの取得もサポートした。

気候投資ファンド が拠出する 200万ユーロを含め、総額3,500万ユーロのザポリージャへの融資は、最大2キロの道路補修、除氷装置や道路維持管理のための機器装備、近代的なバッテリー式トローリーバスや電気バスの購入、関連する電動輸送インフラの改善などに充てられる。また、公共交通機関の発着時間を掲示する案内表示板なども設置し、コミュニケーション・システムの改善も図る。 

IFCのシェリル・エーデルソン・ハンウェイ地域産業インフラ担当シニア・マネージャーは語る。「過去2年間、IFCはザポリージャのプロジェクト開発計画に深く関与し、インフラの改善、デジタル化、そしてグリーン化という同市の都市構想の実現する、収益性の見込める重要度の高い投資案件の開発を支援をしてきた。膨大なインフラ需要に対処するとともに、気候変動への強靭性を強化し持続可能性を促進する長期融資を提供できたことを誇らしく思う。」

ザポリージャにおけるスマートシティ・プログラムの開発に際し、スイス経済省経済事務局( SECO)とオーストリア財務省の協力のもと、IFCは、より環境に優しい都市交通システムへの移行を促すプロジェクトを支援している。

ウクライナでは、運輸部門の温室効果ガスの排出量が驚異的なスピードで伸びており、同国の二酸化炭素排出量の約 12%に及ぶ。その意味でも、ザポリージャの取組みは重要となる。期間が13年に及ぶ融資を活用し、同市は排出量を削減するとともに、電気バスや電動輸送に不可欠な充電スタンドを設置する予定だ。また、積載能力の高い最新型車両の導入により、現在、街中を走行している積載能力と効率性に劣る車両数を減らすことができる。

世界で最もエネルギー集約度が高い国の一つであるウクライナは、これらの取組みを通じ、段階的な低炭素経済へ移行が可能となる。

未来への道筋

ザポリージャのヴォロジーミル・ブリヤク市長は「ザポリージャは、公共交通インフラの刷新と拡大のための取組みで他の都市をリードしている。これは、持続可能かつ安定した都市交通システムへの移行という、より広範な取組みの一環で行われており、国際的なパートナーと連携し、市民のために最善策を提供できるよう全力で取り組んでいる」と語る。

今後、 IFC の投融資により、新たな路線開発も含め、同市のインフラの効率性が改善され、高齢者や障がい者といったこれまで十分にサービスが行き届いていなかった人々に、より近代的で優れたサービスを届けることができるようになると期待されている。

IFC は、グローバルなネットワークと経験を基に、重要度の高いプロジェクトに民間資金を動員し、資本市場と都市を結びつけるとともに、市の信用力向上をサポートしている。投資業務と助言業務を組み合わせて行う 90億ドル規模の シティ・イニシアティブにより、 IFCは、世界中の都市と戦略的パートナーシップを組み民間セクターと連携することで、都市交通、手頃な価格帯の住宅提供、エネルギーの効率化、そして気候変動に対する強靭性の向上といった幅広い分野で解決策を提供している。

IFCは、気候変動に対する高い強靭性を備えた持続可能な都市づくりを目指す世界の自治体への支援を継続する中、ザポリージャによる未来を見据えた街づくりのための取組みは今後も続いていく。

2021年6月発行